御曹司は溺愛彼女を捕えて離さない
なんかなぁ。
いるだけでいいとか言ってもらえるのは確かに有難いんだけど、私も捻くれてるんだろうな。
素直に喜べない。

必要とされてないと感じてしまう。

絶対そんな事はないとはわかってるんだけど。

「春香。座りなさい」

「はい」

「昨日はどこに泊まってたんだ?」

「別に、友達の所だよ」

「…そうか。ワインは楽しめたか?」

ワインね…

「ええ。とても」

ほとんど飲んでませんけど。

「お小遣いは足り…」

「パパ。私もう大人よ? 仕事だってしてるし。実家暮らしなんだから、それだけで十分よ」

「でも渡してるカードだってガソリンだけで全然使わないじゃないか」

「ガソリンだけでも本当に助かってる」

「何か困ったことがあったら言うんだぞ?」

「うん。ありがとう。パパには感謝してる。私にはこれで十分よ、本当に」

それは本当だ。

「幼い頃、何もしてやれなかったし…当たり前だ」

またそれか。
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