御曹司は溺愛彼女を捕えて離さない

♦︎♦︎♦︎


仕事が終わったタイミングで結ちゃんから電話がかかってきた。

「大河。あのね、春香ちゃんなんだけど」

「ああ。どうした?」

「ニューヨークに新店舗が出来るんだけど、そこのスタッフとしてどうかって話が上がってるみたいなの」

は?

一瞬時間が止まった。
でも前に、チラッと春香が憧れるって言ってたのを思い出す。

「…おお。凄いな」

なかなかないだろこんなチャンスは。
あいつなら絶対に行くと思った。

「大河、離れちゃうよ?」

わかってる。
でも俺に止める権利はない。

「ああ。俺は大丈夫。諦め悪いの知ってるだろ?」

さらさらあいつがニューヨークに行ったとしても諦める気はない。
俺は春香に心底惚れてる。

「ふふふ。そうね。応援してるから」

「ああ。ありがとな結ちゃん。俺が知ってる事は黙っててくれ。あいつから聞きたい」

「ええ。それはもちろんよ。それじゃ」

「それじゃ」

たぶん近々春香の耳に入るよな。

なんて言ってくるだろうか。
嬉しそうに言ってくるんだろうなきっと。

俺の気持ちなんて気づいてもないんだから。
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