御曹司は溺愛彼女を捕えて離さない
俺はすぐに駆け寄る。

近くで見た春香は本当に綺麗だった。
そして、なんだか憂を帯びたそんな表情。

春香は最近ずっとこの顔をよく見せていた。
ニューヨーク行きが決まってから。

しかもこの日は、いつも言わないような事まで言ってくる。

こいつは俺の見た目を褒めない。

なのに、なんで今日に限ってそんな熱のこもった瞳で俺を見上げる?

人目も気にせず、その唇を奪ってしまいたくなる。

式中も、どうしても気になって春香を見るたびに目が合う。

なんなんだよ。
何も言わないくせに。

本当に何も言わないまま行ってしまうのか?

その後もガーデンパーティーに移りすっかり祝福ムードに飲まれ、ずぶ濡れになった春香を俺は攫った。

もう我慢の限界だった。



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