御曹司は溺愛彼女を捕えて離さない


「それじゃ春香は…」

「ああ。俺がようやく彼女を見つけた時に、子供がいた事を知ったんだ。春香は12歳だった」

「彼女は、親父からも散々反対されていたのを知っていたし、妊娠がわかって春香を守るために家から逃げたんだよ」

そんな…

「それで一人で誰にも頼らず春香を育ててくれていた。俺は何度も彼女に戻ってきてくれと言ったが春香が戸惑うからと首を縦に振らなかった」

強い女性だったんだ。
そして春香を愛してたんだ。

「でも最後には根負けして、一年後。春香が13歳の時に家に来てくれたんだ。そして弟もできた」

「でもね、いないと思っていた父親がある日突然現れてこんな屋敷に連れてこられて。そして母親が妊娠して。13歳という多感な時期には刺激が強かったみたいだ」

「しかも弟を産んですぐに彼女にガンが見つかってね」

親父さんは辛そうに話す。

「春香が高校の時に空に逝ってしまった」

そう言って項垂れるように下を向いた。
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