御曹司は溺愛彼女を捕えて離さない
「違っ…待って…あっ!」

腰を掴まれ誘導するように私を動かす。
そして自分も一緒になって隙間を埋めてくる。

「春香っ…好きだ」

その声は切なくまるで懇願に似たそんな声。

「そんな顔しないで…」

私は大河の顔を両手で掴む。

「信じて」

そう言って大河は動きをそっと止めた。

私はコクっとひとつ頷く。

「大河。私も…好き。愛してる」

「春香っ…」

繋がったままで動かず身を寄せ合い抱きしめる。
潰されそうなくらい強く強く。

「やっと…やっと言ってくれた」

そう言って微笑む大河の瞳には僅かだが涙が溜まって見えた。
そういう私はすでに泣いてしまっている。

「好き。大河が…どうしようもないくらい好き」

「俺もだ。俺が証明するよ。俺を信じて良かったって思ってもらえるように。離れてても大丈夫って思えるくらいに」

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