御曹司は溺愛彼女を捕えて離さない
次の日は、ニューヨークの街に出て観光する事になった。

何故か私が住んでるのに大河の方が詳しいという謎の現象が起こっている。

ま、そりゃ忙しくてどこにもゆっくり出かけてなかったけどさ。

「ほら」

大河が手を出す。
私はこの手を握ったらもう離せない。
それでもこの手を掴みたかった。

キュッと握る。

大河はフッと笑うとこめかみにキスを落とした。

「離すなよ」

そう言って。

なんでもお見通しなのか。
意地を張ったって大河の前じゃなんの役にもたたない。

「私、しつこいよ」

「クククク。俺ほどじゃないだろ」

「私、ヤキモチもやくし」

「俺もだ。可愛い」

「すぐ怒るし」

「知ってる。全く効かん。それすら可愛い」

「絶対めんどくさくなるよ」

「大丈夫。全部可愛い」

そればっかじゃん。

「ははは! 降参です」

私はキュッと握り直して笑いながら見上げた。

「可愛い」

「さすがに言い過ぎ」

「ははは」


二人で見たニューヨークの盛大なカウトダウンの花火は人生で一番綺麗に見えた。

打ち上がる花火の中私達は人目もはばからずキスをした。
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