御曹司は溺愛彼女を捕えて離さない

そして大河が帰る日、空港まで行く。
私も明日からまた仕事だ。

「それじゃ。連絡する」

大河はポンと私の頭に手を乗せる。

「うん…」

「春香。大丈夫。すぐにまた会いに来るよ」

「うん…」

「寂しくなる前に言え」

「うんっ…」

「それじゃ。またな」

「またね」

「行ってくる」

大河にとって私がいる場所が、帰る所みたいな言い方に胸が熱くなった。

そう思ったら一気に気持ちが軽くなりようやく笑顔が出せた。

「行ってらっしゃい！」

大河は私を引き寄せ一度抱きしめると、少し名残惜しそうに最後にキュッと手を握って微笑み飛行機へと向かって行った。

今度は笑顔で見送れた。
不思議と寂しさはなかった。

次はいつ会えるかわからないけど、大河は大丈夫って言った。

そうだよね。
私たちは大丈夫だきっと。