御曹司は溺愛彼女を捕えて離さない
「そうなんだよな。俺はな」

ここまでなんとか踏ん張ってきたって感じだ。
俺の愛を信じて欲しくて。
春香がどこにいたって俺たちは変わらないんだと思って欲しくて。

「案外こういうのって、男の方が寂しいもん?」

翠が聞いてきた。

「どうだろな。俺もこんなん初めてだし」

「ははは! 黄昏てるー」

「うるせ。んじゃお先」

そろそろ春香が朝を迎える時間だ。
俺の一日が終わる頃、春香の一日は始まる。

こんな生活を続けて早くて一年半がたった。
一年半といえばあっという間かもしれないが、俺にとっては結構長く感じた。

春香に会えない夜は、無駄に広いベッドで一人眠る。

隔週で会いに行ってても正直全然足りない。

でも春香は向こうで充実した毎日を過ごしていて、そんな春香に寂しいなんて言えるはずもなかった。

日本へたつ飛行機の中で俺がどれだけ胸が締め付けられる思いをしながら乗っているかなんて知られるわけにはいかない。

そして駐車場へ向かう。
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