御曹司は溺愛彼女を捕えて離さない
車に乗るとさっそく春香が詰め寄ってきた。

「ちょ、ちょっと待って! 何? ス、スムーズ過ぎやしないか!?」

春香が興奮して変な話し方をする。

「そりゃそうだ」

「いやいや、違う違う。え? パパと知り合い?」

「お前と付き合う前に、話はつけてた」

「へ?」

春香はポカンとしている。

「あとは親父さんからでも聞け。帰るぞとにかく。もう早く抱かせろ」

「んなっ!?」

そしてギャーギャー騒ぐ春香を隣に乗せて車を走らせやっと家につく。

「は? ここ?」

「ここ」

「え? このレジデンスってまさか…」

「ああ。そのまさかだ。天音ちゃんと同じだぞ。どう? 嬉しいだろ?」

「嘘でしょ!?」

「嘘じゃないって。引っ越したって言ったろ」

「な、なんで!?」

「は? んなの、お前が喜ぶと思ってだろ」

「頭おかしいんじゃないの!?」

「どこが」

「だって、私と住むってさっき決まったじゃん!」

「俺はとっくに一緒に住みたかったんだよ!」

二人でぜーぜー大声をあげて玄関のエントランスで騒ぐ。

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