御曹司は溺愛彼女を捕えて離さない
コンコン。

「俺です。大河です」

俺は副社長である親父の部屋へと向かう。

「おう。入れ」

「はよ」

「おはよう。どうした?」

なんでニヤついてんだよ。
そしてハッとする。

「もしかして、黙ってた!? 結ちゃんか!?」

「正解」

やられた。
結ちゃん、春香の帰国の事俺には黙ってやがった。
だよな。
知らないわけねぇよな。

「やられたわ」

「ククククっ。それで? どうなった?」

「ああ。昨日プロポーズした。篠宮の親父さんにも挨拶してきた。春香と結婚する」

「そうか。よなったな。おめでとう」

「ありがとな親父」

「俺はなんも」

そう言ってニカッと笑う親父は嬉しそうだった。

「それじゃ」

「ああ。今度顔見せに来い。菜由も楽しみにしてる」

菜由とは俺のお袋だ。
親父とお袋は今だに仲良しだ。
見てるこっちが恥ずかしいわ。

「ああ。すぐ行くよ」

そう言ってまた執務室へ戻った。
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