御曹司は溺愛彼女を捕えて離さない
パパ、仕事中かな。

『もしもし。春香?』

あ、出た。

「あ、パパ? ごめんね朝から。今日って仕事だよね?」

『ああ。今移動中。何かあったか?』

「パパ…。電話でごめんだけど、その…。ありがとう今まで」

『ははは。なんだよ水臭いな』

「私、パパのこともママのことも勘違いしてた」

『…春香』

「今ならわかる。これまで散々反抗的な態度をとってごめんなさい」

『そんな事思ってないよ』

「パパ…」

『ありがとうな春香。俺の自慢の娘だ』

もう涙が洪水のように出てしまう。

『明日おいで。大河くんと。サインしないと』

「うん」

『車もバイクもメンテナンスしてあるから。持っていきなさい』

「うん」

『大河くんね、春香がニューヨークに行ってすぐに家に突然来たんだ』

「え?」

『まだ付き合ってないんですけど、結婚したいんです。娘さんを下さいって言ってな。クククク』

は?

『だから最初は、不審者扱いしてたんだ』

そりゃそうだ。

『でもね、何度も何度も真剣に言いに来てね。半年もね。』

大河…
え、それでニューヨークに行って半年後だったの…?

『春香の良い所も悪い所も、全部話すんだよ。俺よりも詳しく知ってた』
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