御曹司は溺愛彼女を捕えて離さない
「バイトって他にはどんな?」

「ん? コンビニのレジもしたな、丈慈と。でもありゃ客が騒いでダメだったわ。ははは」

でしょうね。

「あとは?」

「新聞も配ったし、引っ越しのとか。
丈慈と着ぐるみ着てチラシも配ったな。
もう顔隠そうってな。ククククっ」

それこそ顔出した方がチラシ受け取ってもらえたんじゃないの?

「一番楽しかったバイトは?」

「絃と犬の散歩のバイトは最高だったぞ。ありゃ面白かったわ。一気に10頭くらい連れてよ。すっちゃかめっちゃかで」

この人どんだけなの。

「なぁ、これなんかの面接か?」

なんて言って大河は笑ってる。
てっきり当たり前に学生時代は悠々自適にお小遣いで遊んで、そのまま親の会社に入ったのかと思ってた。

私はまたとんでもない偏見を待っていたらしい。
つくづく捻くれてるんだと思った。

私こそ、バイトなんてした事なかったし。
パパにおんぶに抱っこだった。

自分のことは棚に上げて、酷いもんだ。
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