御曹司は溺愛彼女を捕えて離さない


「あちー」

「ほんとそれ」

「これじゃくっつけねぇな」

「ははは。汗だくで暑いの我慢してくっついてたら笑う」

「手も繋ぎたいし、腕も組んで歩きたいけどさすがに暑すぎるわ」

「でも汗かいてなくない? 涼しそうだよ? 見た目」

「いやキャップの中ヤバいぞ」

「私も私も」

歩いてても結局春香と並ぶと目立つらしい。
まぁ見慣れた光景ではあるけど、以前と違うのは俺たちは夫婦だという事。

そしてここが日本だという事。

春香がニューヨークに行ってから付き合ったから、日本でこうして日曜の真昼間に街を歩くなんてなかったしな。

"お友達"の時は、歩いてても俺は距離をとってた。
触れてしまえば男が顔を出してしまいそうで。
なんか懐かしいわ。

それが今はこうして夫婦として歩いてるなんてな。
感慨深いものがあるよな本当に。
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