御曹司は溺愛彼女を捕えて離さない
「翠はやっぱり俺たちの後任につくらしい」

やっぱりか。

「マジで嫌なんだけど」

「いや俺もだから」

「設楽! 設楽は?」

「いやいや、あいつはそのまま陽平くん。もちろん涼太くんもな」

親父と純平くんはそれぞれ会長と副会長になる。

「しかも、引き継ぎ期間だとか言って明日からつくんだと」

「明日から!?」

「ああ」

「なぁーお前社長なんだろ? なんとかしろよー」

「まだ今月は俺たちに人事の権限ねぇよ。今月だけ我慢するしかない」

だよな…

コンコン。

ノックと同時に翠が入ってきた。

「ちょっといい?」

声をひそめて話しかけてくる。

「聞いた? 秘書の話し」

「聞いた」

「ヤバいかも」

「何が」

「私が休んでる間に秘書課で勝手に決めたっぽい」

「はぁ?」

「俺のヤバい?」

「俺のも?」

俺たちはこぞって翠に聞く。

「どっちもヤバい。仕事は出来るけど、人間性に難ありかもしれない」

「「終わった」」
< 198 / 270 >

この作品をシェア

pagetop