御曹司は溺愛彼女を捕えて離さない
「香水臭い」

あ、そっちか。
焦ったわ。

「春香、秘書だよ秘書。話したろ?」

「え、本当? こんなに匂いつく?」

俺はクンクン嗅ぐ。

「うわ。最悪だ。マジでくせぇ」

俺はすぐさまスーツを脱いだ。

「クリーニングだこりゃ」

春香は怪訝な顔をする。

「いや待って。指一本も触れてないからな?」

俺は両手を上げて降参のポーズをする。

「まずわかった。お疲れさま」

そう言ってまた笑ってくれた。
俺はまた抱きつく。
春香もキュッと抱きしめ返してくれる。

「本当に最高。帰ってきたって感じだ」

「ふふふ。ご飯にする? お風呂にする? それとも…お風呂にする?」

ん?
最後またお風呂だったぞ。

「お、お風呂にする」

そう言えば、春香はニコッと笑うと俺を風呂場に押し込んだ。

「ごゆっくり」

無表情でぱたんと閉められる。

「春香ー。一緒入ってくれよー」

ダメだ行っちまったわ。
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