御曹司は溺愛彼女を捕えて離さない
秘書たちは急に現れた三人に驚いている。

「あら。失礼しました。取り込み中でしたか?」

翠がわざとらしく聞いている。

「いえ。そちらは?」
「どなたですの?」

二人は翠に聞く。
しかも睨んでる。

俺と丈慈は立ち上がり春香と天音ちゃんの所まで向かうと脇に立ち、腰を引き寄せた。

「君たちには紹介がまだだったな。俺たちの妻だ」

そう言えば、春香も天音ちゃんもニコっと微笑み会釈をする。

「同伴とは伺ってませんが」

なのにコイツらはまだ睨みつけるような目で見てくる。
馬鹿なのか?

「妻帯者はこういう場合、同伴が基本だろう。忘れたのか?」

丈慈が冷たく言い放つ。

「君たちはもう欠席で構わない。そういう態度はやめてくれるか? 私達の妻に向かって」

丈慈はまだ止まらない。
こいつも相当我慢してたなコレ。

「んな!? 私達も行きます!」

彼女たちが動くとまた香水の匂いが部屋中を駆け巡る。

春香を見れば、いつの間に出したのかハンカチで鼻を押さえていた。

天音ちゃんはそれを見て吹き出しそうになってる。

「私達、外にいましょうか?」

ついに我慢ならなかったのか、天音ちゃんが必死に笑いを堪えて澄ましながらそんな事を言う。

「天音、そのままで大丈夫」

丈慈はいつものように話す。
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