御曹司は溺愛彼女を捕えて離さない
「ここで襲ってやってもいいぞ」

耳打ちされ、ニヤっと笑う大河。

「車まで行く」

そう言って私をエスコートして歩く。
女性社員の目が凄いな。

「大河、モテるね」

大河は左の運転席のドアを開けてくれ、私はヒョイっと乗り込んだ。

「俺には春香だけ。今日も可愛いな」

そう言っていつもの甘い顔を見せる。
ポニーテールの髪をスルッと撫でられた。

大河にきづいた社員がこちらを注目している。

「ありがとう。大河もね、カッコいいよ」

するとキスをしようとグイっと顔を寄せる大河。
私は大河の唇を指で押さえた。

「皆んな見てるよ」

そう言えば、大河は眉間にシワを寄せて私の手を取る。

「見たけりゃ見ればいい」

そう言って大河は私にキスをした。
周りから女性社員の悲鳴に似た声が聞こえてくる。

「大河っ!」

大河はクスッと笑う。

「それじゃ、気をつけて帰れよ。本当にありがとう」

そう言って大河はドアを閉めた。
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