御曹司は溺愛彼女を捕えて離さない
なんとか親父さんにしがみつかれながら歩ききる。

「親父さん。つきましたよ」

「大河くんっ…春香をっ…頼むっ」

「はい。任せてください。柊麻」

柊麻を呼べば、笑いながら来てくれてなんとか親父さんを連れて行ってくれた。

ふぅ。こりゃ参ったな。

そしてやっと身軽になったところでちゃんと春香を見る。

やべぇわ。
世界で一番綺麗だ。
鼓動が馬鹿みたいに早くなっている。

「春香。綺麗だ」

春香の手を取り俺の腕に組ませる。

「大河も。カッコいい。本当に」

このままキスしてしまいたくなるが、なんとか堪えて正面を向いた。

その後パイプオルガンの音色とともに奏でるゴスペルシンガーによる大聖堂での賛美歌は流石に鳥肌が立った。

いかにもなステンドグラスもまた惹きつけるものがある。

いよいよ待ちに待った指輪の交換。

二人で選んだ真新しい指輪を交換する。

お互いつけ終わると目が合い微笑み合った。
嬉しそうだ。

そして誓いのキスをする。

春香が少し頭を下げて、俺はベールをそっと上げる。
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