御曹司は溺愛彼女を捕えて離さない
「これ付けて。これで走行中も話せるから」

すごい!

「よし、それじゃゆっくり行くぞ。気をつけてついておいで」

そう言って走り出すパパの後ろを、ドキドキしながらついていく。

ふふふ。
楽しい。

パパはチラチラ私を気にしながら走らせている。

「大丈夫そうか?」

「バッチリだよ! どう? 私ちゃんと走れてる?」

「ああ。俺の前来るか?」

「いや、それはやめておく」

何回目かの信号待ちでパパが左側にズレたので私は右に並んだ。

「バッチリだな」

「ふふ。良かった。パパもカッコいいよ」

「照れるなこりゃ」

本当だ。パパ照れてる。

その時隣の車線に見覚えのある車が止まった。
ドイツ製のあの悪魔と同じ車だ。

げ。
嘘でしょ?

チラッと見る。

やっぱりあの悪魔だ。
あ、でも今日は一人じゃん。

ふんっ!
何よ。サングラスなんてかけて。

自分もつけてるのにそんなことにまで文句をつける。

私は正面を向く。
何か視線感じるわー。

見てるねこれ。
絶対見てる。
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