御曹司は溺愛彼女を捕えて離さない


大きな手。
この手で私はたくさん背中を押してもらった。
この手で私を抱きしめてくれた。

この手を初めて握った時、私はもうとっくに捕まってた。

大河の男性らしい指にまるでずっと待っていたかのようにピタっとハマっている指輪。

「やっと付いたな」

大河はニカッと笑う。
そして指輪を見ながら自分の手を開いたり閉じたりしている。

無邪気か。
私は思わずクスッと笑ってしまう。

「なんだよ」

「大河、嬉しそう」

「俺、初めて指輪つけたわ」

確かに普段からアクセサリーは付けないもんね。

「似合ってる」

そう言えばまた嬉しそうに指輪に触れる大河。
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