御曹司は溺愛彼女を捕えて離さない
家に戻りガレージへバイクを止める。

「お疲れ様。手とか痺れてないか?」

「大丈夫。楽しかった。ありがとう」

「ああ。俺も。夢が一つ叶ったよ。ありがとうな」

そう言ってフッと笑った。

「大袈裟だな。また行こう」

「ああ」

部屋に戻ってソファにドサッと座る。

パパとの初のツーリングは楽しかった。
楽しかったけど、あの悪魔にまた遭遇してしまった。

なんなの?
ここら辺が行動範囲なの?

私も私で、同じ車種を見つけるたびに目が行ってしまう。
アンテナが張ったように。

困ったもんだ。

仕事や教習所通い、料理教室、ジムで身体を動かしたりとわざわざ忙しくしていたのは、頭の中から棲みついた悪魔を追い払いたかったってのもある。

どうしてだか、ムカつくのにあの悪魔は棲みついて頭から離れていかない。

こうして一人の時間ができるとあの夜の事を思い出してしまう。

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