御曹司は溺愛彼女を捕えて離さない
天音にはそんな辛い結婚してほしくない。

仕事終わりに車は駐車場に置いたままちょっと近くのカフェに寄って飲み物をテイクアウトしてから帰ろうと歩いている時、天音のあの彼とすれ違った。

私は後先考えずにその彼の腕を掴む。

案の定急に腕を掴まれて怪訝な顔を見せる彼。
私は天音の話をしようと話しかけると、彼はすぐについて来た。

私は簡単に自己紹介をした。
名前は神楽丈慈(かぐらじょうじ)さんというらしい。

そして単刀直入に話を切り出す。

彼を見る限り、彼もまた天音の様子が気になっている感じだったからどう思ってるのか聞く。

「俺は…、俺は天音と一緒になりたいと思ってる。実は一年前にパリで彼女に助けてもらった事があったんだ。それからずっと忘れられずにいて、それであの時偶然見つけて駆けつけたんだ。俺は天音が好きだ」

あのワインの日が初めてじゃなかったの!?
そんな…
前にパリに行ったとは聞いていたけど。
しかもその時から神楽さんは天音に想いを馳せていたなんて。

そんなに想ってくれる人がいて、天音もまた彼の事が好きなら…
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