御曹司は溺愛彼女を捕えて離さない
一人残った席で静かにコーヒーに口をつける。

これで良かったんだよね。
二人は愛し合ってる。

神楽さんはきっとなんとかしてくれるはずだ。

すっかり興奮してしまい、コーヒーを持つ手が僅かに震えていた。

大丈夫。
ちゃんと言えた。

天音が言えないなら私が代弁するしかないもの。
私は天音の親友なんだから。

どう見たってお似合いだものあの2人。

天音もとにかく美人だし、性格だって本来はとても明るくて活発だ。
華道をしている時はそれを押し殺して別人のように澄ましている。

神楽さんもまた、一見冷たそうに見えたが瞳の奥はしっかりと強い意思をもち、真摯に話を聞くその姿からは天音を想う気持ちがしっかりと伝わってきた。

最後の最後であの悪魔の顔が何故だか浮かんだのは、やっぱり似ていたから。
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