御曹司は溺愛彼女を捕えて離さない

すると別のスタッフが話しかけて来た。

「店長！　お知り合いですか？　あの新作出します？」

店長？
へぇ。店長だったのか。

「え？　あ、ああ。そ、そうね。よろしく」

春香はスタッフにそう返事をした。

「ちょっと！　店で変な事言わないでよ？」

ヒソっと言われる。

「変な事って？」

ちょっとふざけてみると、すかさずブーツで足を踏まれた。

痛てぇー。
つえー。

「わかったって」

笑いそう。

スタッフが何着か持って来たのを春香は受け取る。

「お客様、こちらへどうぞ？」

口は笑ってるが目が笑ってない。

「へいへい。あのさ、俺アウター欲しいんだけど」

「それならちょうどこちらをお勧めできます」

そう言って、手にしていた黒のダウンジャケットを差し出された。

「お、いいじゃん」

袖を通して鏡の前で合わせる。
さすが結ちゃん。
メンズもバッチリだよな本当に。

質も良いし。
値段もいいけど。