御曹司は溺愛彼女を捕えて離さない
するとその人は肩を少し揺らす。
笑ってるようだ。

その人もグローブを外して、ヘルメットを外し、つけていたマスクを外して髪をかきあげた。
フサフサの兄ちゃんだ。

そしてこっちを向いた。

「どーも」

「は?」

なんで?

そこには、一番会いたくなかった悪魔がニコっと微笑んで私を見ていた。

「ククククッ、やっぱり春香だった」

「ちょっ、なんで!?」

「偶然だな」

悪魔はまだおかしそうに笑ってる。

嘘でしょ!?
そんな事ある?

「いや、俺もまさかだったわ。バイク、渋いね。カッコいい。見ていい?」

「え? あ…うん」

そう言って二人ともバイクから降りて、悪魔は私のバイクの横にしゃがんだ。

「おー。やっぱかっけーこのカスタム。自分でしたの?」

私を見上げ少年みたいにワクワクした様子で楽しそうに聞いてくる。

「いや…パパが」

「パパ?」

「うん。パパがバイク好きで…」

「パパとツーリングとか行くのか?」

「え? あ、うん。パパとしか行かない」

「へぇー。パパね…。センスだいぶいいな」

なんかパパに凄く反応するやん。

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