御曹司は溺愛彼女を捕えて離さない
「お待たせ」

そう言って戻ってきた悪魔にホットコーヒーを渡される。

「ありがとう」

悪魔は私が素直にお礼を言ってコーヒーを受け取ったのを見てクスッと笑って自分のバイクに寄りかかる。

「眩しいな」

そう言って悪魔はサングラスをかけた。
道路側に顔を向け横を向きながらコーヒーを飲むその姿は、まるで俳優かモデルか。
そんな佇まいだった。

なんなの。

つい見入ってしまう。

悪魔がまた顔をこちらに向けたところで目が合った。

「ん? どした?」

私は慌てて目をそらしコーヒーを飲む。

「あっつ」

「大丈夫か? 水いるか?」

悪魔は立ち上がると心配そうに声をかけてきた。

「いや、ごめん。大丈夫。ありがと」

「気をつけろ」

へいへい。



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