御曹司は溺愛彼女を捕えて離さない
間も無くしてサイレンと共に救急車が二台到着する。

柊麻が運ばれてくると私は駆け寄った。

「この子の姉です!」

すると隣にいた悪魔も口を開いた。

「保護者です。同乗します」

そう言った。

え?

「ではお二人とも乗ってください」

隊員に言われ二人で乗り込む。

「柊麻! 柊麻!?」

柊麻は痛そうに顔を歪めたまま返事をしない。

「脳震盪も起こしているようです。安静に」

隊員に騒ぐなと目で促される。
その間も、傷口の処置を施す隊員。

「柊麻…」

その時隣にいた悪魔が私の手をそっと握った。
私が見上げると、大丈夫だと言ってるみたいにぎゅっと力をこめて頷く。

そうだよね。
大丈夫だよね。

私もコクっと頷き、また柊麻を見守る。
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