御曹司は溺愛彼女を捕えて離さない
病院に着くと、柊麻は看護師たちに連れて行かれてしまった。

傷の処置と、脳の検査などをするみたいだ。

待合室で悪魔と二人並んで待つ。

時間と共に、不安が大きくなる。

「春香。大丈夫。柊麻はちゃんと無事に戻ってくる」

その間も悪魔はずっと励ましの言葉を言いながら私の手を握り、背中をさすってくれていた。

私はただうなだれるように、柊麻の無事をひたすら祈った。

「俺も何度か運ばれたぞ。頭も縫った事ある。でもこの通りぴんぴんしてる。柊麻もきっと大丈夫だ」

私はコクっと頷く。

するとぽんと頭を撫でられ、また手を握られた。

正直言いたい事はたくさんあったけど、今はこの人がいてくれて良かった。

この大きな手で包まれると何故か安心できた。
落ち着いて励ます声も、全て。
今の私にはそれがとても力強くて頼もしかった。
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