御曹司は溺愛彼女を捕えて離さない


「んー!」

口いっぱいにお肉の肉汁が広がり噛めば噛むほど甘さが増す。
口溶けの良い上質な油。

美味しすぎて時間をかけて味わってから飲み込みたいのに、私の胃袋は早くくれという事を聞かずに引きずり込む。

散々美味しいお肉を食べたけど、これは流石に一番美味しいかもしれない。

「美味しい…」

「だろ? なんかしみるよな」

「わかる!」

そしてもう一口。
んー! やっぱり美味しい。
彼の言う通り口内からお肉の味が全身に染み渡るようなそんな感覚に、幸福感で満たされていく。

「腹減ってると尚更な」

彼も食べながらフッと微笑む。

「たくさん食べな」

私は餌付けされてるのか?
もしやお礼は身体でなんて言われるのか?

そんな事を考えつつも箸は止まることを知らない。

「幸せだー」

牛さん、ありがとう。
生産者さん、ありがとう。
このお肉に携わった皆さん、ありがとう。
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