御曹司は溺愛彼女を捕えて離さない
その後も出されるものすべてが美味しくてもう言葉も出ない。
美味しい以外。

「お腹いっぱいだ…」

「良かった。車じゃなかったらもっと良かったよな」

「いや、十分過ぎるくらい満足」

「ククククっ、素直だな」

そう言って笑われた。

「いいでしょ、別に」

「ああ」

彼は優しい顔で微笑む。
そんな顔で見ないでよ。
そんな顔で…

結局会計も彼がスマートにカードで済ませてしまう。

「ありがとう。ご馳走様でした」

ここはやはり素直に感謝を述べる。

「おん。俺も久しぶりに行けて良かったわ」

車に乗って私が止めてる駐車場へと黙って送ってくれる。

「ん? 車ここじゃなかった?」

駐車場までくると私の赤の車がないのに気づいて聞かれる。

「ああ。今日は違う車なの。バイク積んだままだし。昨日も今日もありがとう。それじゃ」

そう言って私は車を降りると、パパのドイツ製の白のセダンに乗る。
大河を見ると、私が乗るのを見て片手をあげて発進させた。
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