御曹司は溺愛彼女を捕えて離さない

「なぁ、まだ友達なれない？」

「あのさ、大河でしょ？　手切れ金置いて置き去りにしたの」

私はついに言った。

「手切れ金？」

大河は何のことだ？　って顔をする。

「フロントに三万預けたでしょ」

「いや、あれはタクシー代も渡してなかったなと思って、急いでたしよく見ないまんま置いてきただけなんだけど。三万だった？」

「え？　手切れ金じゃなかったの？」

「は？　手切れ金？　なんだそれ。そんな気さらさらねぇよ。タクシー代だって言われなかったのか？」

は？
いや、言われたけど…
本当にそれだけだったって事？

「え、でもだって、それに…最中に女から呼び出されて…」

「女？　俺、電話出たの男だけど。丈慈。わかるだろ？　天音ちゃんだっけ？　の旦那なった奴」

ん？

「急に会議が入って呼び出されただけ。女？　あー。あれ秘書な。それは無視したけど」

「え？」

「ちなみにその秘書、丈慈の妹な。ようは俺のイトコ」

イトコ！？