御曹司は溺愛彼女を捕えて離さない
「え、だってしかも、またなとか言って連絡先も交換してないのに…」

「いや、それは本当に悪かった。すっかり頭から抜けてたんだわ。夢中になりすぎて」

んむっ、夢中にって…
ついあの日の激しい夜を思い出して恥ずかしくなった。

え…

あの三万は手切れ金じゃなかった…
電話は仕事の呼び出し。
女は秘書でイトコ。
連絡先はうっかり聞きそびれただけ…?

全部、私の勘違いだった…の?

「左様で…」

「あ、うん。かなり…ヤバかった。気持ちよ」

「ちょっと!」

やめてよ。

「ああ。はは。てか、え? なんか俺すげー勘違いさせてたか?」

私は答えずズズっと大河が途中で買ってくれたコーヒーを飲む。

「申し訳なかった。そんなつもりはなかったんだ。急いでたとはいえ悪かったよ。片付けもしないままだったよな俺」

悪魔は気まずそうに鼻をいじる。
なんか本当に申し訳なさそうにしてるんですけど。

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