御曹司は溺愛彼女を捕えて離さない
すると大河は少し驚いた顔をした。

「初めて言われたわ、家族以外に」

「あ、そうなの?」

「ああ。みんな双子だとか言うから」

「ま、確かに遠目は似てるかもね。イトコだったんだね」

「ああ。親父が兄弟なんだよ。俺の親父が弟な」

「ふぅーん」

てことはあの神楽一族なのか。

「興味なさそっ」

「うん。興味ない」

「ははは! いーよそれで。別に俺偉くねぇしな」

なんて言って笑ってるが、身なりも仕草も黙ってれば一流そのものだ。
生まれながらに恵まれて育ったんだろうな。

私とは違う。
私は13歳までは、本当に貧乏な暮らしをしていた。

父親が誰だかもわからずに、母に聞いても濁されて。

パパは生粋のおぼっちゃまだけど私は偽物だ。

突然現れた立派な紳士みたいなパパを見て血は繋がってるはずなのに疎外感しかなかった。

ママはもともとパパの屋敷にいたからかすぐに馴染んでいたけど。

あの頃私は完全に孤立していていた。
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