御曹司は溺愛彼女を捕えて離さない
「ええ。 それじゃ、話し進めてもいいですか?」

「…は、はい。あのいつ頃になりますか?」

「実はもう店舗は出来ていて七月頭からのオープンだから、だいたい六月中には引き継ぎして引っ越しになるかな?」

え。
来月じゃん。

「引越し先って…」

「ああ。それは大丈夫ですよ。ちゃんと社宅として準備してますよ! 家具も揃ってますし、移動の費用も会社から出ますので」

「わ、わかりました。ありがとうございます。よろしくお願いします」

「よろしくお願いします」

嘘…。
信じられない。
ニューヨークだって。

YUI FUJISAKIのショップで働くスタッフなら一度は憧れるニューヨーク支店。

こことはまるで規模が違う。
世界中のオシャレな人がこぞってやってくる。

そこのスタッフ…
私が…

そして仕事終わりに、変わらず大河から連絡が入っていた。

今日は残業らしい。

"頑張ってー。私は帰るよー"

"気をつけてな"

いつもなら直ぐに何かあれば大河に言うのに。
何故か言えなかった。

次の日も、次の日も。


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