御曹司は溺愛彼女を捕えて離さない
「綺麗だ」

何でそんな目で見るのよ。
私の心を揺さぶらないでよ。

「大河も。すごく素敵」

なのに正直に言ってしまう私は馬鹿だ。

「なんか照れんな」

心なしか大河の耳が赤い。
本当に照れてるみたい。

「ふふふ。だって本当だもん。大河はカッコいいよ。中身も全部」

もうきっと会うのはこれが最後だ。

「やめろ。そんな顔で見んな。襲うぞ」

初めてだった。
あの日以来、そういう話題は一切出さなかったのに。

「いいよ。全然」

もうこの際めちゃくちゃにして欲しい。

「お前なぁ。思ってもないくせに。冗談が過ぎるぞ。ほら、行こう」

大河はそう言って私の腰に腕を回すと自然にエスコートしてくれた。

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