「この結婚はなかったことにしてほしい、お互いのためだ」と言われましたが……ごめんなさい!私は代役です
「━━この結婚はなかったことにしてほしい! すまない。だが、お互いのためだ」


開口一番、姉に求婚した男性が、 姉に成りすましている私に告げる。


ど、どういうことですか? 
もしかして、私が偽物だと気づかれましたか?

私達双子は髪色が違うものの、顔はとてもよく似ている。 姉が言うには、お会いした記憶がないと。 だから、絶対にバレないから大丈夫だと。


姉は母に似て輝くように明るい金髪で、私は父に似てダークブラウンの髪。 今日のために金髪に染めてバッチリ成りすましている。

鏡で自分を見ても姉と見間違うほどに……

と、いけない、今はそんなことではなくて、



「あ、あの━━」

「本当にすまない。実は……私は、クリスティナ嬢、君の妹君に求婚したつもりだった……」


え? 私に?

「だが、私としたことが、まさか名前を間違えていたなんて……」

ちょっと、まってください! 旦那様。

間違えておりません、私はクリスティナです。

とは言えませんが、そもそも私達お会いしたことありますでしょうか?

盛大なハテナマークが頭の中を飛び回る

「その、見事な金色の髪。その髪色を見て、気づきました。あなたは、クリスティナ嬢ではないと。あなた達姉妹はそっくりだが、私には見分けがつく。あなたは、私が一目惚れしたクリスティナ嬢ではない!」

いえいえいえ、おかしな発言ですね、旦那様。
ちょっと嬉しい言葉もいただきましたが。

髪色で区別してたのですね?

カッコよく断言してますけど、間違えてますよ。

私は本物のクリスティナです!

えっと、今は姉のフィオーリに成りすましてますが。

「すまない……」

待ってください、旦那様!

色々と聞きたいことが山のようにあるのですが、無情にも旦那様は私と目線をあわすこともなく退室して行った。
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