「この結婚はなかったことにしてほしい、お互いのためだ」と言われましたが……ごめんなさい!私は代役です
15
あの時のことは、夢だったのでしょうか。
「━━旦那様?」
フィオナは鏡の奥にアランの姿を見つける。
後ろを振り向くもそこにはいない。だが、目の前の鏡の中には確かにアランの姿が見える。鏡にフィオナは手を伸ばすと、あろうことかスーッと鏡の中に手が吸い込まれていった。
「え!」
驚愕して目をぎゅっと閉じる。
「フィオーリ嬢?どうしてここに?」
恐る恐る目を開けると、フィオナは鏡の中に入っていた。
「え、今、鏡の中に吸い込まれて、もしかして旦那様も?」
「いや、違うんだ。私のせいかもしれない。すまない」
「どういうことですか?」
「全ては、この腕輪のせいなんだ。これは我がロシュフォール家の家宝。というか、呪いだ」
「呪い?」
「この腕輪は、大昔ここエルモア王国のユリア王女様がわがロシュフォール伯爵家に降嫁された時に持ち込まれたものだ。王女が輿入れするので、叙爵の話が出たのだが断ったそうだ。その代わりに王家の秘宝の一つとして賜ったものだ。だが、この腕輪は簡単に外れないのだ。そして、不定期にこのように鏡の中に閉じ込められる。どの鏡にも行き来は自由だが、外に出ることができるのも不定期だ。三日だったり、1ヶ月だったり、4時間のこともあった。秘宝というよりも呪具だよ。」
「魔法でも外れないのですか?」
王族や上流貴族の中には、魔法が使える者がいる。
「ある程度の魔法が使える私でも無理だった。何度か王家に相談したのだが、魔道具に関することはメリッサ王女が専門だと。」
「メリッサ王女様……?あの、失礼ですが、どなたでしょうか」
「エルモア王国にメリッサ王女などいない。王族の名前は決まっている。亡くなったらその名前を代々受け継いでいく。だがいくら調べても、メリッサ王女と命名された王族はいない。何百年も前に存在しているけれど、死亡記録もない。まるで生きているかのような話ぶりだった。王族に関することなので、深く追求できなかった。専門家がいないのなら、延々と後継者へと引き継いでいかなければならない。腕輪を放置すると災いが起きるのだ。」
「そんな……」
「あぁ、大丈夫だ、ここにいる時はお腹がすくことも生理現象も止まっている。そのうち外へ出られるだろう。巻き込んですまない」
「いえ、あ、あの、旦那様、こんな時に失礼ですが、どうしてフィオ、いいえ、私に結婚の申し入れをされたのですか」
アランはフィオナにみつめられて、ほんのりと耳が赤くなる。
「いやっ、色々とすまない。実はルークに代筆を頼んだんだ。金髪ではない人をと。聞き間違えたのだろう。あの時名前を伝えるべきだった。けれどあなたを見ると、クリスティナ嬢に見えてしまう。あの時、私のことをヒーローだと言ってくれた人に。」
「もしかして、あの時の鏡の中の男の子なんですか?私を出口に案内してくれた?」
「あ、あぁ、あなたを?」
「ごめんなさい!旦那様、私がクリスティナです!」
フィオナはこれまでの経緯を説明し、謝罪をした。
「━━旦那様?」
フィオナは鏡の奥にアランの姿を見つける。
後ろを振り向くもそこにはいない。だが、目の前の鏡の中には確かにアランの姿が見える。鏡にフィオナは手を伸ばすと、あろうことかスーッと鏡の中に手が吸い込まれていった。
「え!」
驚愕して目をぎゅっと閉じる。
「フィオーリ嬢?どうしてここに?」
恐る恐る目を開けると、フィオナは鏡の中に入っていた。
「え、今、鏡の中に吸い込まれて、もしかして旦那様も?」
「いや、違うんだ。私のせいかもしれない。すまない」
「どういうことですか?」
「全ては、この腕輪のせいなんだ。これは我がロシュフォール家の家宝。というか、呪いだ」
「呪い?」
「この腕輪は、大昔ここエルモア王国のユリア王女様がわがロシュフォール伯爵家に降嫁された時に持ち込まれたものだ。王女が輿入れするので、叙爵の話が出たのだが断ったそうだ。その代わりに王家の秘宝の一つとして賜ったものだ。だが、この腕輪は簡単に外れないのだ。そして、不定期にこのように鏡の中に閉じ込められる。どの鏡にも行き来は自由だが、外に出ることができるのも不定期だ。三日だったり、1ヶ月だったり、4時間のこともあった。秘宝というよりも呪具だよ。」
「魔法でも外れないのですか?」
王族や上流貴族の中には、魔法が使える者がいる。
「ある程度の魔法が使える私でも無理だった。何度か王家に相談したのだが、魔道具に関することはメリッサ王女が専門だと。」
「メリッサ王女様……?あの、失礼ですが、どなたでしょうか」
「エルモア王国にメリッサ王女などいない。王族の名前は決まっている。亡くなったらその名前を代々受け継いでいく。だがいくら調べても、メリッサ王女と命名された王族はいない。何百年も前に存在しているけれど、死亡記録もない。まるで生きているかのような話ぶりだった。王族に関することなので、深く追求できなかった。専門家がいないのなら、延々と後継者へと引き継いでいかなければならない。腕輪を放置すると災いが起きるのだ。」
「そんな……」
「あぁ、大丈夫だ、ここにいる時はお腹がすくことも生理現象も止まっている。そのうち外へ出られるだろう。巻き込んですまない」
「いえ、あ、あの、旦那様、こんな時に失礼ですが、どうしてフィオ、いいえ、私に結婚の申し入れをされたのですか」
アランはフィオナにみつめられて、ほんのりと耳が赤くなる。
「いやっ、色々とすまない。実はルークに代筆を頼んだんだ。金髪ではない人をと。聞き間違えたのだろう。あの時名前を伝えるべきだった。けれどあなたを見ると、クリスティナ嬢に見えてしまう。あの時、私のことをヒーローだと言ってくれた人に。」
「もしかして、あの時の鏡の中の男の子なんですか?私を出口に案内してくれた?」
「あ、あぁ、あなたを?」
「ごめんなさい!旦那様、私がクリスティナです!」
フィオナはこれまでの経緯を説明し、謝罪をした。