「この結婚はなかったことにしてほしい、お互いのためだ」と言われましたが……ごめんなさい!私は代役です
フィオ姉様と結婚されるのだから、心の中ではお義兄様とお呼びすべきでした。

ですが、なかったことにしてほしいと……


ロシュフォール伯爵様とお呼びすべきでしょうか。

いえいえ、ここは語呂的にも旦那様の方がしっくりきますね。

それに今の私はフィオーリなのですから、しっかりと心の中でも成りすましてみせます。決してロシュフォール伯爵様が言いにくいからではありません。


昨日は意味不明のことを言われた驚きもあり、あの後ぐっすりと今朝まで眠ってしまいました。

ふかふかのベッドが気持ちよくて。

さすが伯爵家です。


ルブラン家では食事は各自別々で摂っておりました。

そう、言葉通りに各自で自腹を切って賄っておりました。

極限まで節約するために、煮込み料理などは論外です。

姉様達がどうしていたかは把握しておりませんが、私は主にパンをメインに━━
見栄を張ってはいけませんね。
朝と晩はパンだけを食べておりました。

お昼のみ食堂でランチを頂いておりました。

賄い付きのお仕事は最高です。

フィオ姉様と私はこっそりと身分を隠して働いています。

というのも、私達には8際下の弟がおりまして、せめて弟のライアンには苦労させたくないと思っております。

姉様と協力して学費を出し合って、なんとか寮付きの学園に入学手続きができたのです。

食事付きで安心です。

私と姉様は空腹を誤魔化すことはできますが、ライアンにはひもじい思いをさせたくはありません。

そして、将来ルブラン家を立て直してほしいです。

それまではしっかりと働くつもりだったのですが。


とはいえ、さすがにお腹も空いています。


身の回りのことは自分で出来るので、勝手に部屋のバスルームなど使用させてもらいましたが、呼び鈴を鳴らしてよいのでしょうか。
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