私と彼の3年間
お腹の傷口もある程度回復して私も少し歩くことができるようになった。

あれから毎日"空友"の先生と屋上で空を見ながら話している。

今日も休憩時間に先生は迎えに来る。

『今日は屋上まで歩いて行けますか?無理なら車椅子持ってきますけど』

「歩きたいです!」

『よし、じゃあいきましょうか!』

看護師さんに屋上に行きますと声をかけて先生と歩く。

『今日は晴れてるから空も綺麗だと思うんですよねー』

「私もそんな気がします。」

屋上に着いていつものベンチに2人並んで腰掛ける

「今日は雲ひとつない青空ですね。」

『いつもより早く休憩入ったからかなぁ』

「たしかに!今日来るのちょっと早かったですね。」

『いつも休憩入ったらすぐ吉川さんのとこ行ってますから。』

「そうだったんですね。」

『あの、空友タイムだけは敬語やめて話しません?』

先生が名付けた空友タイムは先生の休憩時間のこと

「先生がそう言うなら!そうしましょう!」

『ありがとう。僕吉川さんが病院内で唯一の友達だからね。』

「先生同期とかと仲良くないの?」

『仲良かった同期はみんなそれぞれの道に…』

「でも先生優しいから看護師さんとか色んなスタッフさんにモテそうなのに」

『あー…ごはんとか誘ってもらうことはあるけど、一度もご一緒したことはないかな』

「えーなんで!ここの看護師さん可愛い人も綺麗な人も多いじゃん!もったいない!」

『そうだね、そうだけど…ここだけの話ね、看護師さんって怖いイメージが強いんだよ。医師だからって理由で近づいてくる人も多くてね。』

「そうなんだ、先生イケメンだし優しいしハイスペックだもんね。そりゃあ近づきたいわけだ」

『なに?吉川さんもそんな風に僕のこと思ってくれてるの?』

「今は友達だからこうやって先生と話せてるけど、そうじゃなかったら先生は雲の上の人だよ!」

『そんなことないのになぁ』

そうつぶやく先生は少し寂しそうだった。

そういえばどうして先生は貴重な休み時間を丸々私と過ごしてくれるのだろうか。

先生の病院内で唯一の友達でいれるってことが嬉しい。

辛い時ずっと支えてくれてるのは先生だから、私も先生にできることないかな。
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