私と彼の3年間

入院生活のはじまり

緊急入院が決まった日会社に事情を伝え、しばらく休むと連絡した。

4人部屋の窓側のベッド。無機質な天井をみながらぼーっと考える。

私は死んでしまうのではないか と。

不安に駆られてスマホを取りだし病気について調べる。

ステージ4は予後が悪い。そんな記事を見てさらに不安になった。

私はどうなってしまうのか。

病室でベッドに閉じこもっていることが窮屈に感じて点滴台につかまり、屋上を目指した。

貧血でフラフラの状態。安全のためにも自由に歩くことは許されないだろう。

そう思ったから看護師さんには何も言わずに出てきた。

すぐに息が切れて苦しい。でも開放的な外に行きたかった。その一心で少し休憩しながらなんとかたどり着くことが出来た。

真っ赤な夕焼けに包まれる。日が沈むまで見ていようと屋上のベンチに腰掛けた。

景色を眺めていると自然と涙が出た。

受け入れられない気持ち、不安、恐怖。色々な感情でぐちゃぐちゃだった。

「あれ、先客がいる。」

後ろからそう声が聞こえて振り向くと若い男性医師が立っていた。

「どうしたの。辛いことでもありましたか。」

彼は泣いている私を見てそう言った。とても穏やかな声だった。

『わたし死んじゃうかもしれないんです。』

知らない人に話しかけられてすぐに答えるなんていつもの自分らしくないなと思う。

でも彼には話したいと思った。この人なら話を聞いて私の心を少し楽にしてくれるって直感的に思った。
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