私と彼の3年間
手術が終わって意識が鮮明になったのはもうその日の夜中のことだった。

点滴とか色々な管に繋がれて、身動きを取るのも難しかった。

麻酔がきいてて今は痛みは無いけれど、それ以上に喪失感があった。

手術が終わったということは私は完全に子どもを授かれない体になったということ。

妊娠、出産することが女性の全てでは無いと分かっているのに自分の女性としての価値が無くなってしまったように思えた。

それでも私は生きたかった。…はずなのにその喪失感に襲われて涙が止まらなくて消えてしまいたかった。

まだがんを取りきれたかも分からない。きっとお腹の傷も一生消えない。

現段階で私がこれからこの病気を治してまた生きてゆけるという保証はまだないのだ。

手術を受けたことで少しでも希望を持てるかなと思っていたけれどこれからも続く治療を思うと憂鬱になる。

ネットで調べた抗がん剤治療の副作用は辛そうで心が挫けそうだった。

手術が終わっても不安は決して軽くならなかった。

いつから自由に動けるようになるのだろうか。

陽先生にはいつ会えるかな。

たくさんの管に繋がれて身動き取れずにその日は一晩中泣いて過ごした。
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