私と彼の3年間

手術を終えて

翌朝、目が覚めるとやっぱりたくさんの管に繋がれたままで昨日手術したことを思い知らされる。

でも意識ははっきりしてきた。しばらくは安静かなって思っていたけれどある程度管が外れたらどんどん歩いてくださいとのこと。

お腹の傷も結構痛む。痛んだ時に自分でボタンを押して投与する鎮痛剤を使いながらなんとか耐えてる。

ごはんもまだ食べられないらしい。

今はトイレにもお風呂にも行くことは出来ずベッド上で絶対安静。

全部看護師さんがしてくれる。それが結構恥ずかしかった。でも嫌でも自分じゃできないからお願いするしかないのだ。なんだか泣きそうだった。

いつから歩けるかなぁ。歩けるまで陽先生には会えないだろうな。

そんなふうに思っていたのだけれど陽先生は休憩時間に
私の病室へ来てくれたのだった。

「失礼します。吉川さん、手術お疲れ様ですー」

『え?先生?なんで…』

「言ったでしょう?私の休憩時間に何しようと私の自由ですって。」

『…確かに仰ってましたけれど、』

「ちょっと心配でね」

『心配って…!私子どもじゃないんですよ?』

苦笑いする私に陽先生は少し暗い顔で言った。

「子どもじゃないからこそだよ。色々考えちゃってまた泣いてるんじゃないかなって心配だったんだ。」

手術が終わってもまた新たに不安が出てきて、なんだか自分の価値まで見失ってしまったような気持ちでずっと涙が止まらなかった。

そんな私の状況を知っていたかのように陽先生が話すからまた泣いてしまった。
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