私と彼の3年間
『…私、もう成人してるのにこんなに泣いてるのおかしいですよね、先生にもそれバレちゃってるなんて恥ずかしいです』

「おかしくなんてないですよ。泣いたっていいじゃないですか。患者さんの気持ちに寄り添うのが医療従事者の仕事ですから。辛いこと苦しいことしたいこととかなんでも言ってくださいね。」

いつも忙しそうな病院のスタッフにこんな話をしたら
きっと面倒くさがられてしまうだろうと言えなかった気持ちを先生は受け止めてくれた。この先生は本当に良い先生だと思う。

『先生、私屋上に行きたいです。』

「今日はまだ絶対安静だからね、それが大丈夫になったら一緒に行きましょうか。看護師さんに安静解除になったら教えてって伝えておきますから。」

『先生、そこまでしてくださるんですか!』

「なんだか吉川さんのことは放っておけないんですよ。同世代ですし?」

『え?先生何歳ですか?』

「28歳ですよ。老けて見えます?」

『そうじゃなくて、えっと、同世代と比べたら先生は落ちついて見えます。』

「それってさ、やっぱり老けてるってことじゃないですか?吉川さんひどい!」

老けてる?と言いながら顔を触る先生に思わず吹き出して笑ってしまった。

先生と話すといつも楽しくて、辛いこと忘れられるなぁ早く屋上で空見ながらまた話したいなって思った。
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