「生きること」
「え?死神?クロキさんが?」
わたしの驚きに男性は「知らないってことは、ここに来たばかりなんだね。」と言った。
あの優しいクロキさんが死神だなんて信じられない、、、
「はい、、、それでクロキさんが住宅街に案内してくれようとしたんですが、途中で時計みたいなのが光って、それでどこかに行ってしまって。」
「あぁ、呼ばれたんだね。」
「呼ばれた?」
「うん、死神の仕事が入ったんじゃない?」
「死神の仕事って、、、?」
何となく勘付きながらもわたしは男性に尋ねた。
すると、男性は「死神の仕事といったら、一つしかないでしょ?」と答えたのだった。
「住宅街に来たってことは、家探し?しばらくここに居るんだ?」
男性がそう訊くので、わたしは首を立てにふり「はい」と答えた。
「じゃあ、俺の隣空いてるから来ない?女の人は一階より二階か三階がいいでしょ?丁度、303号室が空いてるから案内するよ。」
そう言うと、男性は笑顔で手招きし「こっちこっち!」と言った。
この人は悪い人ではなさそうだ。
わたしは信じて、その男性について行ってみることにした。