「生きること」

「わたしたちが生霊なら、現実世界ではどうなってるんですかね?」
わたしがそう訊くと、敬ちゃんはベッドから起き上がって胡座をかき「普通に生活してるみたいだよ。」と答えた。

「ただ、生霊が抜けた状態で生活してるから、鬱状態みたいになってるらしい。だから、自殺する人が多いんだって。本当かよく分かんないけど、クロダのばあちゃんが言ってた。」
敬ちゃんはそう言うと、宙を眺めて「俺も現実世界では、どうなってるんだろうなぁ。」と呟いた。

「あ、変なこと聞いてすいません、、、つい気になってしまって。」
わたしがそう言って謝ると、敬ちゃんは微笑みを浮かべ「気になるのは当然だよ!気にしないで!」と明るい声で言ってくれた。

「そういえば、窓口に居たおばあさんなんですけど。」
私がそう言うと、敬ちゃんは「あぁ、クロダのばあちゃんのこと?」と言った。

「あの人は、誰なんですか?クロキさんと同じ格好をしてましたけど、、、」
「クロダのばあちゃんも死神だよ。正確には、元死神かな?仕事に疲れて引退したらしい。」
そう言って、敬ちゃんは笑った。

「死神を引退とか出来るんですね。」
「出来るらしいよ。ただ、引退するには条件があるって言ったかなぁ?そのへんは、俺もよく分からないけど。」

死神を引退出来る、、、
引退出来るなら、クロキさんは何で死神を続けているんだろう。
そんなことを考えながら、わたしは敬ちゃんにお礼を言い、自分の部屋に戻った。
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