「生きること」

わたしは自分の部屋に戻ると、ベッドに横になった。
部屋を見渡し、そういえばこの部屋に時計ないなぁ、と思った。
時間という概念がないのかもしれないなぁ。

そんなことを考えていると、色々あり過ぎて疲れていたのか、わたしはいつの間にか眠りに就いていた。


そして、どのくらいの時間が経ったのか分からないが、ふと目が覚めると、当たり前だがベッドの上で寝ていた。
風景は変わらない。

わたしは目を擦りながら、身体を起こした。

殺風景な部屋に一人。
ふと仕事のことを思い出した。

今まで周りの人のフォローをしながら、人手不足の中で頑張ってきた自分。
新井主任から「昇格試験受けてみないか?」と声を掛けてもらったときは、自分の頑張りを認めてもらえた気がして嬉しかった。
あまり人を褒めないと言われている他の部署の課長からも陰で「桐屋さん、頑張ってるよね。」と言われていると聞いたときは、見てくれている人は居るんだとモチベーションにもなった。

それが蠣崎課長の一言で何もかも無かったことになってしまった。
深澤さんがわたしを嫌っているのは感じていたが、こんなことになるなんて、、、

彼氏も居ない、離婚と再婚を繰り返す母ともそれほど仲が良くないわたしにとって、仕事がたった一つやり甲斐を感じられた居場所だったのに、、、

そんなことを考えていると、涙が溢れ出してきた。
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