「生きること」

「本当は、ここで過ごす方たちとみんな平等に接しなくてはいけないのですが、ついくる実さんを特別扱いしてしまいました。不思議な気持ちなんですが、、、何だか、ほっとけなくて、、、」
「えっ、、、」

クロキさんの言葉に驚き、クロキさんの方を見ると、クロキさんは大きな満月を見上げたままだった。
わたしはクロキさんの言葉に恥ずかしくなり、手をモジモジさせ、再び大きな満月の方に視線を戻した。

「くる実さん」

クロキさんの呼び掛けに、わたしは「は、はい！」と上擦った声で返事をしてしまった。
恥ずかしい、、、と、わたしは片手で口を塞ぎ、クロキさんの方を見た。

「もし、僕が必要になったときは、ここに来てください。」
「え？」
「必ず駆けつけますから。」

クロキさんはこっちを見てそう言うと、「ねっ？」と言って微笑んだ。

わたしは照れながら、「はい。」と微笑み返し、再び大きな満月を見上げた。

ここに来られて良かった。
この大きな満月に元気を貰えた気がした。

そして、クロキさんと一緒に居られていることが嬉しかった。