「生きること」
わたしは、それを見ると立ち止まり、アパートに帰りづらかったので、引き返そうとした。
すると、その前に舞さんに見つかってしまったのだった。
「あ!ちょっと待ちなさいよ!」
舞さんの声に反応せざるを得なく、わたしは舞さんの方を恐る恐る振り向いた。
舞さんは強めの口調で「ちょっとこっち来なさいよ!」と言った。
わたしは仕方なく言われるがままに、舞さんの方に向かい歩き出し、目の前で立ち止まった。
「あんた、ここに住んでるんだって?」
舞さんは不満そうに言った。
「はい、、、」
「ここは、クロダのおばあちゃんが管理するアパートよ?!ここに住んでるなんて生意気!どうせ、クロキさんに紹介してもらったんでしょ?!」
舞さんの怒りは止まらない。
わたしが「紹介してくれたのは、クロキさんじゃなく敬ちゃんで、、、」と訂正する間もなく、舞さんはわたしに怒りをぶつけ続けた。
「わたしでさえ、部屋が空いてなくて住めなかったのに、ズルい!わたしと部屋変わりなさいよ!クロキさんのお気に入りになろうとするなんて、あんた図々しいのよ!」
舞さんの言葉にあの嫌な思い出が蘇る。
お気に入り、、、わたしは、そんなつもりないのになぁ。
舞さんが騒ぎ立てていると、アパートから慌てて敬ちゃんが飛び出てきた。
「何なに?!どうしたの?!」
敬ちゃんが驚いて言うと、舞さんは「あんたは関係ないでしょ?!黙ってなさいよ!」と言い放った。
すると、次はアパートからゆっくりとクロダさんが出てきた。
腰の後ろで手を組み、「何だい、騒がしいね。」と迷惑そうに言った。