「生きること」
「綺麗だなぁ、、、。ここ、よく来るの?」
敬ちゃんがそう尋ねるので、わたしは「うん。クロキさんに教えてもらったんだぁ。」と答えた。
「へぇ〜」
「え、何?その反応。」
溜め息でもつきそうな表情をする敬ちゃんにわたしは尋ねた。
敬ちゃんは、「いや、、、嫉妬?」と言って笑った。
「嫉妬?」
「うん、クロキさんに。」
敬ちゃんは湖を眺めながら、切なそうに言った。
「そういえば、くる実ちゃんタメ口で話してくれるようになったね!嬉しい!」
敬ちゃんが話を逸らそうとしているのを感じた。
「あ、ごめんなさい!つい、、、」
「いいんだよ。同じ年だし、俺はタメ口の方が嬉しいなぁ。」
そう言って微笑む敬ちゃんに、わたしは「わかった。」と返事をした。
「くる実ちゃんってさ、何でここに来たの?」
敬ちゃんの言葉に仕事のことを思い出す。
わたしは敬ちゃんに、自分の想いを踏み潰された仕事の話をした。
敬ちゃんは、真剣な表情で耳を傾けてくれていた。
「それってさ、くる実ちゃん悪くなくない?深澤ってババアのせいやん!あー、俺がその課長だったら、異動の話もみ消すのになぁ!」
そう言うと、敬介ちゃんは後ろに手をついて、空を見上げた。
そして、「俺は、くる実ちゃんの味方だからね。」と言ってくれた。