「生きること」
「そろそろ部屋に戻るね。」と敬ちゃんの部屋を出たあと、わたしはこっそり一階まで下りて行った。
クロキさんに会いたい。
その気持ちから出た行動だった。
クロダさんが居る窓口の前を通り、外に出ると、何とそこには舞さんが両手を腰にあて、険しい表情をして立っていたのだ。
明らかにわたしを待っている様子だった。
「あんた、クロキさんがどこに居るか知らない?!」
強い口調で舞さんが言った。
しかし、クロダさんからの注意を受けたからか、いつもよりは控えめだった。
「いえ、知らないです。最近、会ってないので、、、」
わたしがそう言うと、舞さんは「そう。」と言い、あっさり立ち去ろうとしたが、「あんたなんて居なくなればいいのに。」と最後にその言葉を残し、舞さんはわたしが向かおうとしていた反対側を歩いて行った。
あんたなんて居なくなればいいのに、、、かぁ。
わたしは、誰にとっても邪魔な存在なのかなぁ、、、。
舞さんの言葉からまた仕事のこと、深澤さんから受けた嫌がらせのことを思い出し、気持ちが沈んでいった。
わたしは、湖に向けて歩き出した。
クロキさんに会いたい。
その思いだけで、歩みを進めて行ったのだった。